25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
私を待ってる間に、車を取って来てくれたようで、隆司さんは駐車場に私を誘う。


「さ、どこ行こうか?」


「あなたが疲れてなければ、ちょっと夕陽が見える所に行きたい。」


とちょっとワガママを言ってみると


「そうだな、今日はいつもより時間が早いし、久しぶりにドライブするか。」


笑顔でそう答えて、隆司さんは車をスタートさせる。


少し走ってから、私は聞いてみる。


「あのさ、渋谷さんのことなんだけど・・・。」


「ああ、ビックリしたよ。こんなことがあるんだな。」


隆司さんはハンドルを握りながら、話し出す。


「彼女は俺が課長に昇進した時に、アシスタントについてくれてた人なんだ。新米課長で右も左もわからない俺をとにかくよくサポートしてくれたよ。」


と言って懐かしそうな表情を浮かべる隆司さん。


「2年ちょっとだったかな、一緒にやったのは。それで彼女は今の旦那さんと結婚して、寿退社した。まぁ正直、手足もがれたような気分だったけど、こればかりはな。」


「・・・。」


「彼女の旦那とも一時期同僚だったから、式にも呼んでもらった。スピーチをなんて言われたけど、それだけはご勘弁って。」


「そうだったんだ。」


「今でも年賀状のやり取りはしてるけど、当然彼女とは式以来、会ってないし、旦那の方も今、単身赴任で地方だから全然連絡も取ってないから。しかし、朱美と同僚になってるとはなぁ。いや、本当に驚いた。こんなことがあるんだなぁ。」


「渋谷さんには、仕事をいろいろ教えてもらって、本当にお世話になってるんだ。」


「そうか。じゃ、今度よく礼を言わないとな。俺の彼女がいつもお世話になってますって。」


そう言って笑う隆司さんの横で、だけど私の心は弾まなかった。
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