25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
私はさんざん迷った末、内藤の呼び出しに応じることにした。帰って来た夫に全てを打ち明け、相談すべきだと、何度も考えたが、とうとう、その決心がつかなかったから。


翌日、家事を早めに片付けた私は、指定された場所に向かった。近づくに連れて、どんどん足が重くなって来て、何度も引き返そうと思ったけど、結局私はいつものショッピングモールの前に立つ。


クラウンというのは、この中にあるカフェ、私と内藤が初めて2人でお茶をした店だ。


店の前で、もう一度躊躇して、でも私は遂に中に入る。既に席に着いていた内藤が、サッと手を挙げるのが見え、私は思わず周囲を見回す。だって、誰に見られてるか、わからないじゃない・・・。


知った顔が目に入らなかったことに、ややホッとしながら、私は内藤の前の席に腰を降ろした。


「お待たせしました。」


「いや、私もちょっと前に来たところだから。」


そう言って内藤は笑みを浮かべるが、私の表情は固いまま。ウェイトレスがオーダーを取りに来た後、私達は改めて向かい合う。


「突然、呼び出して申し訳なかった。」


「・・・。」


「この前、会った時に話したかったんだが、急いでたから・・・。」


ぎこちなく、そう切り出した内藤を冷ややかに見つめた私は


「で、何のご要件でしょうか?」


と事務的に言う。今更、こんな風に呼び出されるのは迷惑です、と言いたかったが、そこまで言って、相手を変に刺激してもと、自重する。


「朱美。」


いきなり名前で呼ばれ、驚く私を見ながら、男は続ける。


「やっと会えた。ずっと会いたかったんだ、朱美に。」


その男の言葉を、私は唖然としながら聞いていた。
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