25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
「でも、当たり前だけど、そんなの直接返せって言われて・・・。だけど、あの時点でお父さんに会っちゃったら、それこそ、そのままズルズルとなし崩しになっちゃいそうで。そうこうしてるうちにひと月が過ぎちゃって、さすがにもうキチンとしようって決心したところに、お父さんから、復縁目指して、もう1度付き合おうって言ってもらったから、いよいよ出せなくなっちゃって・・・。」


「・・・。」


「そうならそうと、確かに早く言うべきだったよね。でも、なんか申し訳なくて、どうしても言えなくて・・・みんなをだます形になっちゃった。」


「・・・。」


「隆司さん、ごめんなさい。清司もごめんね。」


そう言って、私は頭を下げるけど、この微妙な空気は、やっぱり・・・。


「父さん、もういいじゃん。母さんが変な小細工する人じゃないって、一番わかってるのは、父さんだろ?」


この雰囲気を見かねて、宥めるように言う長男。


「わかってるよ、別に怒ってるわけじゃない。ただ、あまりに意外な顛末に驚いてるというか、戸惑ってるだけさ。」


夫はそう答えると


「そう言うお前は、なんで気が付いたんだ?離婚届、お母さんが出してないことに。」


と長男に聞き返す。


「2人が別居して、1ヶ月くらい経ったあと、俺こっちに来たよね。それで、母さんに会いに行って話した時、半分からかうつもりで、恋愛したらって言ったら、もうあんなこと、まぁ不倫のことだけど、2度としたくないって即答でさ。この人、独身なのに、なに言ってんだろうと思ってたら、思い出した。」


「何を?」


「その前の日にここに泊まった時、父さんが会社の手続きに必要だから、離婚証明書みたいものって市役所行けばもらえるのかって騒いでたの。それでハハーンと思った。」


と何やら得意そうに語る長男。
< 147 / 156 >

この作品をシェア

pagetop