25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
翌朝、夫も次男も何事もなかったように出勤して行った。そして私もいつも通り、2人を見送った。


別れよう、そう言った私に、夫は答えをくれなかった。まだ迷ってるのだろうか?もし夫が今夜、私の決心にノーと言ったら、どうなるのだろう。その時に、私の中に話し合う余地はまだあるのだろうか?


「今夜は少し遅くなる。夕飯はいらないから。スマンが、待っててくれ。」


そう言い残して行った夫。今日は長い1日になる。


溜まっていた家事を、昨日に引き続きこなして行く。少なくとも、自分の中では、はっきりと別離を決めた今、いろいろな思いが、湧き上がって来ることはどうしようもない。だからこそ、とにかく今は、身体を動かしたかった、作業に没頭したかった。


気が付けば、年末の大掃除並み、いやそれ以上の勢いで、掃除をしていた。飛ぶ鳥、跡を濁さず、もうそんな気持ちになってるのかもしれないと、ちょっと自分で苦笑いする思いになった。


そんなこんなをしているうちに次男が帰宅。久しぶりに2人で夕食を摂った。


初任給が出たからと、彼が私達を食事に招待してくれたのは、ほんの1ヶ月程前の話だ。去年の長男に続いて、次男からもそんなもてなしを受けて、1つの区切りを迎えたんだなぁと実感したのを思い出す。


これからは夫婦の時間を大切にしていこう、なんて考えていたのが、嘘のようだ。


次男も就職してから、間もなく3ヶ月。試用期間が終わり、正式登用されれば、今までのように、定時帰りばかりなんて、呑気なことは言ってられなくなるはず。


如才ない長男と違って、寡黙なタイプの次男は、あまり無駄口をきかず、今も黙々と食事をしている。


しかし、根は甘えん坊で、たった1歳の違いなんだけど、今にして思うと、私もやっぱり次男の方に甘かったかな、なんて思う。


独立心旺盛で、就職を機にとっとと、家を出た長男に対して、実家暮らしを選んだ次男。


私達が、正式に別れることになったら、この子はどうするんだろう。今更ながら、ふと心配になった。
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