25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
翌朝、まだ寝ている次男を起こさないように、そっと起床して、送り出す準備。考えてみたら、子供と同じ部屋で寝たのは、いつ以来なんだろう?


そしてかれこれ1時間半ほどで


「じゃ、行ってきます。いろいろありがとうね。」


「うん、気をつけて、行ってらっしゃい。」


「また来るから。」


そんな会話を交わして、出勤しようとする次男を


「清司、ちょっと。」


と呼び止めた。


「なに?」


「これ、お父さんに返しておいて。」


振り返った次男に、差し出したのは、自宅・・・だった家の鍵。


「明日、仕事帰りに返しに行こうと思ってたんだけど、少しでも早い方がいいと思ってさ。」


「・・・わかった。」


ちょっと複雑そうな顔をしながら受け取る次男に


「あと、これもお願い出来るかな・・・?」


と続けて私がやや躊躇いがちに、出した物を見て、次男の表情がサッと固くなる。それは・・・結婚指輪だった。


「よくわかんねぇけどさ。」


一瞬の間のあと、次男が言う。


「それって、返すものなの?」


そう冷たい口調で聞く次男に、私は答えられない。


「返されても迷惑なんじゃねぇの?」


「・・・。」


「確かに母さんにとっちゃ、もう不必要な物なんだろうから、だったら捨てちまえば?」


「・・・。」


「それが、さすがに気が引けるって言うなら、せめて父さんに直接返せよ。」


そう言い捨てるように言うと、次男は不機嫌な表情を隠すことなく、出て行った。


(清司・・・。)


自分でもわかっていた。隆司さんに会うのが、辛くて、それから逃げたくて、バカなことを頼んでしまったことを。


(ゴメンね・・・。)


と謝ったのは、次男に対してだけではなかった。
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