25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
それから数日後の朝礼で、店長のシフト変更が正式に発表された。


平日5日はフル出勤の渋谷さんが、店長やもう1人の社員が出勤するまで、責任者代行のような立場になり、その補佐の1人に、まだ見習いのはずの私も選ばれた。


評価してもらうのは、嬉しいけど、さすがにまだ不安だし、先輩のパートさん何人かを差し置いての話で、微妙な空気も感じざるを得ない。


横の渋谷さんの表情を伺うと、彼女の表情もなんとなく、浮かないものに見えた。


こうして、この日の業務が始まったが、なんとなく渋谷さんの元気がないように見えるのが、気掛かり。でも訳ありの私の事情を知ってか知らずか、ほとんど詮索めいたことをして来ない渋谷さんに、私が何か言うのも気が引けて、そのまま、また数日が過ぎた。


その日も、慌ただしく過ぎて行き、そろそろ渋谷さんが上がる時間が近づいて来た頃だった。


「お疲れ様。」


商品の陳列替えをしていた私に掛かった声。振り返るとそこに立ってたのは


「隆司さん。」


まさかの隆司さんでビックリ。
 

「どうしたの?こんな時間に。」


「うん?サボった。」


「えっ?」


「冗談だよ。今日はたまたまこっち方面の取引先に用事があって、早めに片付いたんで、直帰させてもらった。」


「そうなんだ。」


なんて話をしていると


「課長。」


と少々驚きの混じった声が。


「渋谷さん。」


町村(まちむら)さん。」


私の声に重なって、隆司さんの声が。えっと振り向くと、驚いたようにお互い見つめ合っている隆司さんと渋谷さん。


「やっぱり、そうだったんだ・・・。」


ポツンと漏らした渋谷さんの言葉が耳に入って、私は思わず立ち尽くす。
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