守る理由。
『…え、』


驚くことしか出来なかった。

…僕は今、一体何をしたというのか。


『…何が起こったの、』


一人そう呟きながら、自分の手を見つめる。

…友人二人とともに、ビルの最上階にある展望台へ行こうという話になり、一緒にビルに来たまでは良かったんだ。

なのに途中で僕一人が迷子になったらしくて…

どうすればいいのかさえ分からず、ただ歩き彷徨っていた…。

…そうしたら、人にぶつかりそうになって…


『…瞬間、移動…?』


…そうではない気がする、でもそのようなことが起こった気がする。


『…いや、何それ。』


僕にそんな奇妙な力なんてない。

今まで平々凡々と生きてきた僕が…そんな何かを持っているはずがないんだから。

…でも、それなら、今のは一体なんだ?

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