守る理由。
『…えっ、マジで?』
思わずそんな声を漏らしてしまう。
彼女の言った通り、エレベーターを降りてすぐ隣に道があったから。
しかも…進まず取り敢えず奥を見てみると、確かに右と左に曲がることが出来るらしくて。
『あれの…右に、間違うことなく進む…の、か。』
一人でどもりながらこれからすることを呟く。
よく分からない人に言われたことを忠実に守ろうとするなんて、僕はとんだ大馬鹿者なのだろう。
その自覚はあっても…彼女の言うことは、聞かないといけないような気がした。
…否、聞きたいと思ってしまった。
『…よし。』
そう呟きながら先へ進む。
正直言うと、とても怖い。
とにかく怖いし、何が起こるかも分からないから余計怖い。
怖いしか思っていない、とかの苦情は生憎聞くつもりはないが。
怖いものは怖いのだ、この状況になってみさえすれば分かると思う。