守る理由。
なんてことを一人考えながら、歩き進める。

…と、その時、とある変化に気が付いた。



…あれ?さっきまで誰も居なかったのに、今は人が居る…?



…人が歩いている。

それも…只者ではない雰囲気のような何かを纏った、悍ましい者。

その途端に悟る。

あの女性が言っていた、“何が居たとしても”とはきっとこのことを言っていたに違いない。



待って待って、怖いんですけど…!



何故このような所謂怪奇現象、みたいなことに出くわさなければならないのか。
それが不思議でならないし、何よりとにかく怖い。

ホラー映画などは得意で、自分から望んで見に行くような僕だけれど、実際に起こるのは想定外としか言いようがない。

そもそも、こんなことが起こるなんて思うはずもないのだから。

しかし怯えている僕を他所に、その“何か”は僕に見向きもせず歩き進んでいる。

寧ろちょっとはそっち見ろよと言いたくなるくらいには無関心すぎて少し悲しくなってくる。



そりゃこんな普通そうなのが居ても目なんて向けませんよねぇ!



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