守る理由。
『…僕、瞬間移動、した?』



…有り得ない、さっきも言ったように僕はかなり平凡な人間なのだ。

とは言え…今の状況を説明するとすれば、それ以外は考えられもしない。

…何せ、ぶつかりそうになった人は何故か数mも先に居る。

…瞬間移動でさえない限り、僕にはそんなに早く動く手段なんてないのだ。



…だって僕運動神経も平凡だもん、何もかも普通なんだもん。



自分で考えながら少しブルーになってしまうからこれまた頭を抱えてしまう。

そりゃあ僕だって今までに何回も平凡以外を望んだことだってある。

家庭環境は平凡とは言えないくせにそれ以外は何もかも平凡とか何だ。



僕だって平凡な自分に嫌気さしたりはしてるっての!!



一人でその場で地団駄を踏んでいたことに気が付き、周りからの冷たい視線を感じる。

…自分でも何をしているのだろうと我に返ったものの既に遅し、みんな奇怪なものを見るような目で僕を見ているではないか。

しかもさっきぶつかりそうになった人なんて…本当に、驚きと奇怪なものを見るような目、という二つの意味で見てくるから溜まったもんじゃない。

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