守る理由。
『なん、で…』



…何でか、聞く必要はすぐになくなった。

彼は、僕がここに来るまでに見て…一度追われた、あの“何か”と対峙していたのだ。

“何か”は剣を持ち…彼は、刀を持ち…



〈先程の共鳴…その娘だな…〉

「…消えろ、さもなくば俺が消す。」

〈その娘を渡せ…!〉



…何が起こっているのか、足りない頭では理解が出来ずに固まってしまう。



「残念だが…こいつは俺の守る対象だ。」

〈邪魔立てするのなら…殺す!〉

「それは…俺の台詞だ。」



目の前で行われる戦いを見ながら、僕の思考は停止寸前になる。

そして馬鹿な僕は馬鹿なことを考え始める。



…これ、何の撮影だろう。



そう思ってしまうのも、仕方ないと思いたい。


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