守る理由。
『…名前が、ない…?』

「…ああ。」



…名前が無い人など、この世に居たのか。

そう思いながらも、何処かの国ではいてもおかしくないことを思い、少し下を向いてしまう。



「だから…あんたが付けてくれないか?」

『…え?』

「俺の名前を…あんたに付けて欲しい。」



そう言いながら、真剣な瞳で僕を見つめる彼。

…ああ、何だか逆らえないな…。

そう思い…静かに、言葉を紡ぐ。



『…蒼司。』

「…そうし?」



…僕の目に入ったのは、彼のとても綺麗な青の瞳。



『…蒼を司る…それで、蒼司…ダメですか…?』
 


そう聞くと、彼は少しだけ微笑んだ。



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