守る理由。
蒼司「…ああ、そうだ…あんたの家なあるのなら、あんたの家で説明しようと思うんだが…」



その言葉に、僕はきっと顔色を変えたことだろう。

…正直に言ってしまえば、僕に家なんて無いようなものだろう。

最近で家に帰ったのは一体いつだったか。

今はどうしているのか…などは、聞かれても答えられない。

変なことをしているとかそういうわけでは決してないが…良い生活をしているわけでは、決してないのだ。



蒼司「…ないのなら、用意されている家にでも行くか。」

『…用意されている家…?』

蒼司「ああ、あんたを見つけたら使えるようになる家だ。」



そう言われ驚き、少し首を傾げる。

…僕を見つけたら、って一体どういうことなのだろうか。

そもそも何故彼は僕を守る気だというのか…分からない、分からなすぎて少しずつ頭が痛くなってきてしまった。



『…何を言っているんですかね、』

蒼司「いいから付いてこい。」



そう言った彼は、僕の手を取り…静かに歩き出す。

…彼は手袋をしているから手袋越しになるものの、彼自身の温もりがして…何だか変な感じだ。



…誰かの温もりを感じたのなんて、一体いつぶりかな…。



そう思うと、何だか悲しくなってしまう。

…僕はいつから、こうなってしまったのだろうか。


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