守る理由。

『あの、聞きたいことがあるんですけど。』



離されることのない手を軽く見つめた後、彼に声をかける。

彼は僕の方を見ないまま…静かに返事をしてくる。



蒼司「何だ。」

『えっと…その…何で、僕なんですか…?』



あの女性に一番聞きたかったのはこれだった…でも、聞いている暇なんてなかったら…。

そう思いながら、彼に問いかけるものの…彼は未だに此方を見る様子は全くない。



蒼司「付いてから説明する。」

『え、じゃ、じゃあ、さっきの人は?』

蒼司「それもだ。」

『え!?な、なら、あなたは何者なんですか…!?』



そこまで言うと、やっと僕の方を見る。



蒼司「…それも、付いてから説明する。」



…何もかも付いてからかーい。



思わずそうツッコみそうになったものの、ツッコんだ所で話は進まなさそうだと察し、黙ってついていくことにする。

…何故こうなるのだろう。

僕は全てを終わらせる気だっただけなのに…。


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