守る理由。
そこまで考え、僕は思考を放棄した。

これ以上何を考えても無駄だと思った。

何せ平凡しかない頭だ、いい答えが出てくるわけでもない。



『…ふう、』



少し走れば、人気のないところにエレベーターを見つけた。

エレベーターの中で休むのも変なものではあるのだが、取り敢えず他に休める場所はなさそうだからエレベーターの中へ入る。

どうやらそこは本当に人気のないところらしく。

この大きなビルの中には、多くのエレベーターがあって…大抵のエレベーターが二つか三つは並んでいるというのに、ここだけは一つしかなかった。



『こんなところあったのか…意外だな。』



にしても…こんなに広いビルなんて聞いてない。



そんなことを考え、しゃがみ込みながら、ここに来ることになった経緯を思い出す。

…それは、今から数時間前の話だ。

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