守る理由。



璃奈「さーちゃん!」



そう明るく声をかけてくるのは、平野璃奈(ひらのりな)。

クラスの唯一の友人と言っても過言ではない相手。

ちなみに“さーちゃん”というのは、佐藤から取っているらしい。



『何ですか?』

璃奈「一緒に近くのビルの展望台に行きませんか!」



そう言いながら、バンッと僕の机を叩く。

机が傷付いたらどうするんだ、なんてその場の雰囲気も無視して考えながら、返事をする。



『何故僕なんですか?』

璃奈「え?」

『璃奈さんなら、僕よりもっと一緒にいて楽しい友人が居るはずなのに。』



何せ、璃奈さんはムードメーカーだから。



その言葉を飲み込みながら言葉を紡ぐ。


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