守る理由。
蒼司「…さて…最初はどの世界から攻めるか。」

『攻め…!?』

蒼司「ん?…ああ、言い方が悪かったな…どの世界からあんたの力を取り戻すことの出来る“種”を見つけるか考えていたのだ。」



てっきり様々な世界に片っ端から喧嘩を売りに行くのかと思い焦りながら声を出すと、彼は勘違いさせたことを申し訳ないと言うかのように目尻を下げた。



…いやいや、変わらない気しかしないんだけど。



『そもそも、“種”って何ですか…?』

蒼司「ああ…俺がそう呼んでいるだけだ、その“種”はどのような形をしているのかさえ分からない。それに…“種”はそれぞれの世界にあるらしいからな…。それも、どうやら“種”は一つではないらしい。」



そう言いながら考えるように腕を組む。

しかし僕にはまず彼が何を言っているのかということも分かっていない。



『その…えっと、“種”とやらを見つけないと…僕の力…?は戻らない…ってことですか…?』

蒼司「…あくまで、俺の聞いた話では…だがな。」



確かではないのか、少しだけ渋い顔をしてからそう告げる。

僕は一体どう反応すればいいのだろうか。



…ていうか、“種”以外の言い方はなかったわけ…?



この人には語彙力が足りないのかもしれない。

そんなことを生意気ながらに考えてしまったのは仕方がないと思いたい。


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