守る理由。

出発前夜

蒼司「夕飯は何が食べたい?」



突然現れたかと思えば、背後から急に声をかけてくる彼に体が完璧に硬直してしまう。

丁度今幽霊などのことを考えていたのだ、むしろタイミングを図ったのではないかとさえ思えてくるくらいのバッドタイミング。



蒼司「…驚かせたか。」

『…平気です。』
 


何でこういう時に役に立たないかなぁポーカーフェイスッ…!!



自らの表情に文句を言いながら、彼を軽く見つめれば、またさっきのようにくっくっと笑って来る。

この人はどうやら少しサドなところがあるらしい。(偏見)



蒼司「何か買いに行くが…食べたい物はあるか?」

『…手作り?それともお惣菜を買う…?』

蒼司「…生憎料理は出来なくてな。」



何でも出来そうな見た目をしているものの、意外にも出来ないことは沢山あるらしい彼。

それを見ると、何だか普通の人に見えるなぁ…など思ってしまい、軽く笑いそうになる。

まあもちろん笑いはせずに我慢したのだが。



蒼司「…何だその顔は。」

『え?』

蒼司「歪んでいるぞ。」

『まさか暴言吐かれるとは思いませんでしたが!?』



…デリカシーというものを考えて欲しい。


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