守る理由。

世界移動

『…ここが人幻界…ですか?』

蒼司「ああ。」



正直に言おう。

もう二度と違う世界には飛びたくない。



蒼司「…平気か。」

『これが平気に見えるならあなたの目は相当イカれているかと…?』



今僕はその場に座り込み膝を抱えている。

暫くは動きたくない、あんなにも恐ろしい目に遭ったのだから。



蒼司「あと五分したら行くぞ。」

『あなたは鬼か何かですか悪魔の化身ですか??』

蒼司「俺を奴らと一緒にするな…。」



確実に暫くは動けないであろう幼気な少女を五分後無理矢理動かせるなど鬼畜以外に言いようがない。

自らを幼気という時点で幼気ではない、などという苦情を聞く気は毛頭ないが。

一応言っておこう。

僕は今動く元気もなければ、何かに反論したりする元気などありもしないのだ。



…人幻界に来たからって大きな反応も出来ませんわ…ごめんなさいね。



膝を抱えたまま静かに地面を見つめ、軽くそう思う。

何故あんな方法なのだろう、もっと他に来る方法はなかったのだろうか。


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