ペトリコール
「送ってあげたいんだけど、佐吉が熱出してて
病院連れてかなきゃいけないの」
傘のない私に夏菜はそう言ってくれる。
だけど、家は真反対の場所。
「いいよ、大丈夫。走って帰った方が早いから」
「私、送っていくよ」
弥生ちゃんもそう言ってくれるけど、通学路以外の道を行くのは禁止されているからと断った。
優しく心配してくれる2人に嘘をついている事に胸が痛む。
自分勝手でワガママな私を知ってしまったら
2人はもう私に話しかけたりしてくれなくなる。
「また、明日ね!」
これ以上、嘘はつきたくなくて私は2人より先に走り出した。
いつも胸の中にモヤモヤがいる。
黒くて厚くてズシリと重いモヤモヤがいる。
どうすれば、私の中の悪を消せるんだろう。
考えれば考えるほどわからなくなる。
あの人に怒られる事がなくなるんだろう。
行き着く先はそこになる。
病院連れてかなきゃいけないの」
傘のない私に夏菜はそう言ってくれる。
だけど、家は真反対の場所。
「いいよ、大丈夫。走って帰った方が早いから」
「私、送っていくよ」
弥生ちゃんもそう言ってくれるけど、通学路以外の道を行くのは禁止されているからと断った。
優しく心配してくれる2人に嘘をついている事に胸が痛む。
自分勝手でワガママな私を知ってしまったら
2人はもう私に話しかけたりしてくれなくなる。
「また、明日ね!」
これ以上、嘘はつきたくなくて私は2人より先に走り出した。
いつも胸の中にモヤモヤがいる。
黒くて厚くてズシリと重いモヤモヤがいる。
どうすれば、私の中の悪を消せるんだろう。
考えれば考えるほどわからなくなる。
あの人に怒られる事がなくなるんだろう。
行き着く先はそこになる。