ペトリコール
本当に私はダメな人間だと思う。いつもこうやって悪い方悪い方に事は流れていく。

神様は見ているんだと思う。

罰は受けなきゃいけない。

恐る恐るインターホンを鳴らした。

暫く何も応答がなく、雨の降る音だけが耳に入ってくる。

もう頭からびしょ濡れだ。
あの人は激怒するだろう。
嘘ばかりついている私に神様が下した罰なんだ。

もう一度インターホンを鳴らそうとした時

「何してんの」

また、背後から声がした。
この間と同じ声だとわかった。
だけど、今日は身構えていたから驚いたりはしない。

「あ、あの。ここの家に用があって」

そう言って振り返る。

ビニール傘をさした男の人が立っていた。

「何の用?」

見慣れない制服を着ている。
中学生?いや、高校生くらいの男の人は
遠慮のない視線で私を見ていた。

男の人は背が高いせいかでとても威圧感がある。

「…留守みたいなので失礼します」

何の用かは関係ないこの人に話すわけにはいかない。

今日はもう戻ってこれないから、明日また訪ねよう。








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