俺の前で泣けばいいじゃん
◇
それからどれくらい経っただろう。
実際数分しか経ってないだろうけど、私にはとても長く感じた。
「……ごめんね。わーわー泣いちゃって」
「ごめんより、ありがとうのが良い」
「……ありがとう」
『よく言えました』、なんて言いながら頭をポンポンして、やっと体を離してもらった。
沈黙が流れる。
「ところで、どうしてここにいるの?」
その沈黙が重くて、私から質問した。
「俺、よくここに来るんだよ」
「へぇ〜」
「それにしても、あんなに泣くとは」
笑ってやがる。
「も、もう忘れてっ!」
恥ずかしくて死にそうだ。
穴があったら入りたいってのはこのことを言うんだ。
「忘れてあげない。今日から委員長じゃなくて、泣き虫って呼んであげる」
「泣き虫…!やだ!絶対やだ!」
「もう決定事項だよ」
(泣き虫なんて、絶対やだ!!)
さっきまであんなに優しかったのに、苦手なアイツに戻って、また私をからかい始める。
目に涙を溜めてヤツを見る。
ヤツは楽しいのか、笑いながら私の頬を両手で挟んできた。
「ほっと!はなひてほ!」
「何言ってるかわかりませーん」