俺の前で泣けばいいじゃん
いつもとは違う、やけに優しい顔で。
いつもとは違う、やけに甘い声で。
(そういえば、なんか雰囲気が違かった?)
うーんと頭を捻って考えてみるけど、分かるわけもなく。
気のせいだと思うことにした。
────『なんだって分かるよ。
だって、ずっと見てきたんだから』
あの時のアイツを顔といったら……。
思い出すと、なぜか鼓動が早まった。
顔が、やけに熱い。
(ずっと見てきた?)
……って、どういうこと?
色んな考えが頭の中で渦を巻く。
────キーンコーン…
……結局、先生の言葉は耳に入らなかった。