俺の前で泣けばいいじゃん



「あ!圭!」

「圭!お前どこ行ってたんだよー」

「…うん」

5時限目が終わった後、アイツが戻ってきたらしい。

昼寝でもしてきたのか、昼休みとは違って、いつもの気だるげな雰囲気だ。


(目を合わせない…合わせない…)


そうよ。ここは教室。私は優等生。

あんなのは私のキャラじゃない。


そう思い、机の上に教科書とノートを広げる。




「圭、どうしたんだー?眠いのか?」

「いや、別に」

相変わらずあいつの席には人が沢山。

圭、圭って至る所から聞こえてくる。




(……アイツのああいうところが苦手)


愛想なんて良くないのに。
なのに人は勝手に集まってくる。
天性の魅力ってやつか。




(ずるぃ〜〜)

そんな気持ちを込めて、ヤツの方を睨んでみた。




─────パチ

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