俺の前で泣けばいいじゃん
◇
「あ!圭!」
「圭!お前どこ行ってたんだよー」
「…うん」
5時限目が終わった後、アイツが戻ってきたらしい。
昼寝でもしてきたのか、昼休みとは違って、いつもの気だるげな雰囲気だ。
(目を合わせない…合わせない…)
そうよ。ここは教室。私は優等生。
あんなのは私のキャラじゃない。
そう思い、机の上に教科書とノートを広げる。
「圭、どうしたんだー?眠いのか?」
「いや、別に」
相変わらずあいつの席には人が沢山。
圭、圭って至る所から聞こえてくる。
(……アイツのああいうところが苦手)
愛想なんて良くないのに。
なのに人は勝手に集まってくる。
天性の魅力ってやつか。
(ずるぃ〜〜)
そんな気持ちを込めて、ヤツの方を睨んでみた。
─────パチ