俺の前で泣けばいいじゃん
◇
ホームルームが終わった後。
授業の準備をしながら私は周りの声に聞き耳を立てる。
「また五十嵐さん1位だねー」
「ねー。私には真似出来ないわー」
勉強道具を広げている私をチラチラと見ながら話しているクラスメイト。
冗談っぽく笑うその子たちを見ていると、何だかやるせなくなってくる。
周りの子達もそんな話をしているんじゃないか、なんて被害妄想かな。
(きっと、悪気はないんだろうな)
このクラスの子達はみんな良い子だ。
毎日挨拶をしてくれるし、困っている私に手を貸してくれる。