嵐を呼ぶ噂の学園④ 真冬でもあったかいのは愛です!編
「藤宮さん、1度桐生さんときちんと向き合ってみませんか。このままでは2人はお互いに勘違いをし、すれ違ったまま生活していくことになります。それが藤宮さんが望む未来なら良いです。でもそうでないなら、藤宮さんが素直になるべきだと、わたしは思います」


「星名さん...」


「いつも本気でぶつかってきて下さった桐生さんに失礼です。...すみません。こんなこと、わたしが 言えたことじゃないんですが......」


「いえ、その通りです...」



藤宮さんはハンカチで必死に涙を拭いて息を整えた。


その涙が...答えだ。


藤宮さんも分かっているはず。



「恋というのは、引き算ですね」


「引き算...ですか?」


「自分を100とした場合に誰かの存在を引くんです。残りが少なければ少ないほど、居なくなった時の悲しみは大きい。藤宮さんもこの公式に当てはめて考えてみてください」



藤宮さんは前髪に触れた。


心の動揺を表したり、逆に心を落ち着かせる時に触っている。


藤宮さんの癖なんだ、これは。



「どうですか?分かりましたか?」


「私...森下先輩のことがずっと好きで、今も好きなんです。けれど......」


「大きかったんですよね、桐生さんの方が...」



藤宮さんはゆっくりと深く頷いた。


長い時を経て、ようやく2人の心は交わった。



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