嵐を呼ぶ噂の学園④ 真冬でもあったかいのは愛です!編
チケットを買い、スキーウェアに着替え、オレたちはリフトに乗った。


初心者が登っていって良いものなのか甚だ疑問だが、汐泉が足をバタバタさせて楽しそうだからいいとしよう。


汐泉がオレといるだけで楽しいならそれでいい。



「波琉くん、高所恐怖症じゃない?」


「大丈夫」


「確認しないで勝手に来ちゃったから心配になって...。ごめんね」


「汐泉が楽しければオレも楽しいから大丈夫だよ」



感情が無くなったオレは無理やり口角をあげて笑う。


汐泉は相変わらずニコニコしているが、あの日の星名の声がちらつく。



―――わたしをいじめたのは......真砂汐泉さん...。



オレは直感的に思ってしまった。


やっぱりな、って。


その頃、なんとなく汐泉の様子がおかしかったし、それとなく"私がいじめてる"みたいなことを匂わせていたから。


でも、信じたくなかった。


自分のカノジョが自分の友人を傷つけたなんて。


だから、こうしてこの関係を続けているのかもしれない。


それが事実だと知って自分が傷付くのが嫌だから。


そういうオレは...


最低だ。


クズだ。


雪のように純白な心を持てたら良かったのに。


リフトの終着点が見えてきた。


山から降りたら心が真っ白になっていたらいいのに。


そんなことを思っていた。
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