嵐を呼ぶ噂の学園④ 真冬でもあったかいのは愛です!編
リフトから降りると別世界が広がっていた。


バリバリ滑れる人が猛スピードで急斜面を滑降していくのだ。


子どもはほぼおらず、板を装着出来ただけで満足し、へっぴり腰でちょこちょこ進んでいるのはオレくらいだった。


スキー経験豊富の汐泉はあっという間に山の中腹まで下りていき、オレに手を振っている。



「おーい、波琉くーん!こっちだよ!足をハの字にして上手くスピードをコントロールすれば大丈夫だから、早くおりてきなよー!」



ハの字、ハの字っと...。


オレはなんとかハの字になり、カニ歩きで進行方向を変えるとステッキで身体を押し出した。


徐々にスピードを上げて滑降していく。



「わわわわわ...!」



なんかなんか、まずくね?


スピード出過ぎじゃねえの?


あっという間に汐泉に追い付いたのは良かったが、制御不可になり、オレはどんどん下りていってしまう。


このままでは子ども達がいるエリアに突入する。


衝突してけがを追わせたら大変だ。


オレは全力で大きなハの字を作り、コースが整備されていない新雪の積もったところへ飛び込んでいった。


ぶほっ。


雪に埋もれた。


まさかこんなことになるとは...。


17歳でこれはないわ。


呼吸が上手くできず、苦しくなってくる。


板を外し、仰向けになろうと試みるものの手が足に届かない。


やっべえ。


窒息するわ。


誰か...


誰か...


助けてくれ。


そう願った、


その時だった。
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