嵐を呼ぶ噂の学園④ 真冬でもあったかいのは愛です!編
「ちょっと君、大丈夫?」



女の声がした。


どっかで聞いたことのある声だ。


高くもなく低くてドスのきいたような声でもない。


合唱でいったらメゾソプラノくらいで、耳に馴染みやすい声だ。



「はいよっと。板外したから、ほれ。立って」



オレは彼女に雪から掘り出され、十分な空気を胸に取り込むと、自力で立ち上がった。


しっかし、とんだ災難だったな。


やはり、自分の身の丈に合うコースを選ばなければならなかったんだ。


オレは礼をいった。



「助けて下さりありがとうございました」


「いえいえ」



本当にこの人、オレの知り合いじゃね?


この背格好といい、声といい、振る舞いといい、オレのよく知っているヤツにそっくりだ。



「あの...」


「昴!こっちこっち!」



昴?


昴?


昴って、もしや、あの昴?


あいつ、いつの間に昴なんて呼び捨て出来るようになったんだ?


つうか、こんなにも似てるのに別人なのか。


え?


は?


どういうこと?


考えれば考えるほど混乱する。


真っ白にするどころか灰色になってしまったではないか。


ああ、もう!


どうなってんだよ!



「やあ、波琉くん久しぶり。こんなところで会うなんて、運命かな?」



このしゃべり方はやはり...。



「赤星...」
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