嵐を呼ぶ噂の学園④ 真冬でもあったかいのは愛です!編
稲妻に打たれたような強い衝撃を受けた。


一條美湖。


星名の双子の姉。


そして、星名をいじめたヤツ、だ。


この瞬間、オレの中で複雑に絡まった糸がほどけてピンと張った気がした。



「波琉くーん!だいじょーぶー?」



そして汐泉も合流。


これで...終わる。



「あらら、汐泉ちゃんじゃない。久しぶり」


「あっ...。ひ...久しぶり」



ビンゴ。


あとは、確認するだけだ。


オレは赤星に視線を投げかけた。



「美湖と真砂さんはここに残って遊んでいていいよ。俺はちょっと...いや、しっかり波琉くんと話がしたい。抜けてもいいかな?」



一條さんが頬を膨らませる。


ああ、似てる。


やっぱり、双子だな。


憎みたくても憎めないのは、この人を星名に重ねてしまうからだと思った。



「昴がいないと寂しい」


「明日は必ず一緒に滑るから今日は許して。大事な話だから。美湖ならわかってくれるよね?」


「仕方ないなあ。今日だけね、特別。その代わり、あとで飲み物奢ってよ」


「分かった分かった。いいこにして待ってて」



赤星が汐泉に微笑みかける。


その笑みには、憎悪や哀れみといったどろどろとした感情が込められている気がした。



「美湖をよろしくね」



オレは出会って始めて、赤星のこんな悲しそうな笑顔を見たのだった。
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