嵐を呼ぶ噂の学園④ 真冬でもあったかいのは愛です!編
突然桐生さんの口が止まった。
視線の先には...
ポンチョを羽織らせてもらっている藤宮さんの嬉しそうな顔があった。
森下先輩もすごく気の利く方だから、ちゃんと持って来てたんだ。
あぁ、でも...。
でもこんなに辛いのは、桐生さんの気持ちが痛いほど伝わるからだ。
今にも泣き出しそうな目で藤宮さんを見つめている。
「羽鳥ちゃん、そろそろかな?」
言ってほしいような、言ってほしくないような、複雑な気持ちが渦を巻いて心をかき乱す。
目を瞑り、冷静になろうとしていた、その時。
「森下先輩!」
微かに聞こえてくる藤宮さんの声。
わたしの胸は締め付けられ、苦しい。
「私と...私と...」
大人しく見守る園田さんと白鷺くん。
桐生さんは...。
「藤宮羽鳥さん」
森下先輩が藤宮さんのかじかむ両手を大きな両手で包んだ。
「あなたが好きです。僕と付き合って下さい」
まさかの森下先輩からの告白に藤宮さんもわたしたちもびっくり。
「だめ...じゃないよね?」
「はい、よろしくお願い致します」
この瞬間、カップル成立。
園田さんと白鷺くんはとびきりの笑顔。
わたしは桐生さんを見る。
予想では、「そんなの許さない!はーちゃんは俺が幸せにするって決めてんだよ!」的なことを言いながら飛び出して行くと思ってたが、実際は真逆だった。
あまりのショックに放心状態で動かない。
「あっ、羽鳥ちゃんたち、こっちに来る!」
お互いに照れながら手を繋ぎ、入り口に向かい、ゆっくり歩いてくる。
本当なら、手を叩いて喜びたいくらい嬉しいことなのに、素直に喜べない。
どれだけ想っていても届かない...。
ふと、赤星くんの顔が思い浮かんだ。
わたしも赤星くんにこんなに辛い思いをさせていたんだ。
わたしのわがままを黙って受け入れてくれた赤星くん。
本当は自分が幸せにしたいって思ってたんだよね。
同じような立場の桐生さんを見て感じた。
辛い...。
辛すぎるよ...。
わたし...なんか...泣きそう。
「羽鳥ちゃんたち、行ったね。良かったあ、結ばれて...。新年初のカップル誕生だ!」
「いやあ、良かったっすね!羽鳥先輩嬉しそうでしたし。末長くお幸せにって感じっす!」
「そうですね。良かったです」
良かったんだ。
これで良かったんだよ。
藤宮さんが好きなのは森下先輩なんだもん。
桐生さんなんて、どうでもいいんだから。
...どうでもいい?
本当にそうだったかな?
違う。
違う。
違うよ。
どうでも良くない。
藤宮さんはちゃんと桐生さんのことを考えてた。
本当に嫌いなら、嫌いな相手の気持ちなんて考えないよ。
藤宮さん...
本当は
本当は
どうしたいの?
どうしたかったの?
これで良かったって言えるの?
「桐生くん、羽鳥ちゃんのことを本当に想うなら、もうこれ以上関わらないで」
「園田さん、星名さん、白鷺くん、藤宮羽鳥を応援して下さり、ありがとうございました。では、帰ります」
桐生さんが立ち上がり、走り出す。
待って!
ちゃんと伝えたい。
お節介かもしれないけど、でも...。
伝えなかったら、お互いに次に行けないよ。
誤解したまま、後悔したままで歩き出してほしくない。
視線の先には...
ポンチョを羽織らせてもらっている藤宮さんの嬉しそうな顔があった。
森下先輩もすごく気の利く方だから、ちゃんと持って来てたんだ。
あぁ、でも...。
でもこんなに辛いのは、桐生さんの気持ちが痛いほど伝わるからだ。
今にも泣き出しそうな目で藤宮さんを見つめている。
「羽鳥ちゃん、そろそろかな?」
言ってほしいような、言ってほしくないような、複雑な気持ちが渦を巻いて心をかき乱す。
目を瞑り、冷静になろうとしていた、その時。
「森下先輩!」
微かに聞こえてくる藤宮さんの声。
わたしの胸は締め付けられ、苦しい。
「私と...私と...」
大人しく見守る園田さんと白鷺くん。
桐生さんは...。
「藤宮羽鳥さん」
森下先輩が藤宮さんのかじかむ両手を大きな両手で包んだ。
「あなたが好きです。僕と付き合って下さい」
まさかの森下先輩からの告白に藤宮さんもわたしたちもびっくり。
「だめ...じゃないよね?」
「はい、よろしくお願い致します」
この瞬間、カップル成立。
園田さんと白鷺くんはとびきりの笑顔。
わたしは桐生さんを見る。
予想では、「そんなの許さない!はーちゃんは俺が幸せにするって決めてんだよ!」的なことを言いながら飛び出して行くと思ってたが、実際は真逆だった。
あまりのショックに放心状態で動かない。
「あっ、羽鳥ちゃんたち、こっちに来る!」
お互いに照れながら手を繋ぎ、入り口に向かい、ゆっくり歩いてくる。
本当なら、手を叩いて喜びたいくらい嬉しいことなのに、素直に喜べない。
どれだけ想っていても届かない...。
ふと、赤星くんの顔が思い浮かんだ。
わたしも赤星くんにこんなに辛い思いをさせていたんだ。
わたしのわがままを黙って受け入れてくれた赤星くん。
本当は自分が幸せにしたいって思ってたんだよね。
同じような立場の桐生さんを見て感じた。
辛い...。
辛すぎるよ...。
わたし...なんか...泣きそう。
「羽鳥ちゃんたち、行ったね。良かったあ、結ばれて...。新年初のカップル誕生だ!」
「いやあ、良かったっすね!羽鳥先輩嬉しそうでしたし。末長くお幸せにって感じっす!」
「そうですね。良かったです」
良かったんだ。
これで良かったんだよ。
藤宮さんが好きなのは森下先輩なんだもん。
桐生さんなんて、どうでもいいんだから。
...どうでもいい?
本当にそうだったかな?
違う。
違う。
違うよ。
どうでも良くない。
藤宮さんはちゃんと桐生さんのことを考えてた。
本当に嫌いなら、嫌いな相手の気持ちなんて考えないよ。
藤宮さん...
本当は
本当は
どうしたいの?
どうしたかったの?
これで良かったって言えるの?
「桐生くん、羽鳥ちゃんのことを本当に想うなら、もうこれ以上関わらないで」
「園田さん、星名さん、白鷺くん、藤宮羽鳥を応援して下さり、ありがとうございました。では、帰ります」
桐生さんが立ち上がり、走り出す。
待って!
ちゃんと伝えたい。
お節介かもしれないけど、でも...。
伝えなかったら、お互いに次に行けないよ。
誤解したまま、後悔したままで歩き出してほしくない。