嵐を呼ぶ噂の学園④ 真冬でもあったかいのは愛です!編
「桐生さん待って!」
数十メートル先を行く桐生さんがわたしの声で緊急停止した。
近付くほどに大きくなる、泣き声。
わたしも泣きたいけど、わたしが泣いてもしょうがない。
わたしより何倍も辛いのは桐生さんだから。
「桐生さん...。泣いていていいので耳だけ貸して下さい」
わたしは桐生さんの真後ろに立った。
「藤宮さん、桐生さんのこと気にしていたんです。桐生さんの気持ちに答えられなくて辛いと言っていました」
「はーちゃんが...そんなこと...」
「ちゃんと伝わっているんですよ。藤宮さんだって桐生さんのことを100パーセント嫌いなわけではないと思うんです。だから...」
「俺さ」
桐生さんが顔を上げた。
「はーちゃんがどーしようもないくらい好きだった。他のことを犠牲にしても、はーちゃんのためになると思ったことはやってきた。でも...敵わなかったんだよな、森下先輩には...」
桐生さんはこれ以上涙を流さないように必死に耐えていた。
「俺、今日この瞬間、藤宮羽鳥を卒業します」
「えっ...」
「ストーカー呼ばわりされるのも...ね、辛いから。ただ、好きな人が出来るまでははーちゃんを好きでいていいかな?」
「はい...。いいと思います」
桐生さんは笑った。
ようやく、笑えた。
彼なりに頑張って、彼なりに消化したのかな。
わたしも少しは役に立てたかな。
「ちょっと~!こ~とちゃ~ん!」
園田さんたちも、蒸気機関車のようにはかはか白い息を吐きながらこちらに迫って来ていた。
「じゃあ、俺帰るね」
「あっ、あの...これ」
わたしは桐生さんにポンチョを返した。
「星名さんがもらってくれた方が良いんだけど」
「いえ、これは藤宮さんを好きだった証に取っておいて下さい」
「さっき卒業宣言したのに、忘れさせてくれないんだね」
あっ。
確かに...。
「ま、いいや。じゃあ...さようなら。気をつけて帰ってね」
「はい」
数十メートル先を行く桐生さんがわたしの声で緊急停止した。
近付くほどに大きくなる、泣き声。
わたしも泣きたいけど、わたしが泣いてもしょうがない。
わたしより何倍も辛いのは桐生さんだから。
「桐生さん...。泣いていていいので耳だけ貸して下さい」
わたしは桐生さんの真後ろに立った。
「藤宮さん、桐生さんのこと気にしていたんです。桐生さんの気持ちに答えられなくて辛いと言っていました」
「はーちゃんが...そんなこと...」
「ちゃんと伝わっているんですよ。藤宮さんだって桐生さんのことを100パーセント嫌いなわけではないと思うんです。だから...」
「俺さ」
桐生さんが顔を上げた。
「はーちゃんがどーしようもないくらい好きだった。他のことを犠牲にしても、はーちゃんのためになると思ったことはやってきた。でも...敵わなかったんだよな、森下先輩には...」
桐生さんはこれ以上涙を流さないように必死に耐えていた。
「俺、今日この瞬間、藤宮羽鳥を卒業します」
「えっ...」
「ストーカー呼ばわりされるのも...ね、辛いから。ただ、好きな人が出来るまでははーちゃんを好きでいていいかな?」
「はい...。いいと思います」
桐生さんは笑った。
ようやく、笑えた。
彼なりに頑張って、彼なりに消化したのかな。
わたしも少しは役に立てたかな。
「ちょっと~!こ~とちゃ~ん!」
園田さんたちも、蒸気機関車のようにはかはか白い息を吐きながらこちらに迫って来ていた。
「じゃあ、俺帰るね」
「あっ、あの...これ」
わたしは桐生さんにポンチョを返した。
「星名さんがもらってくれた方が良いんだけど」
「いえ、これは藤宮さんを好きだった証に取っておいて下さい」
「さっき卒業宣言したのに、忘れさせてくれないんだね」
あっ。
確かに...。
「ま、いいや。じゃあ...さようなら。気をつけて帰ってね」
「はい」