嵐を呼ぶ噂の学園④ 真冬でもあったかいのは愛です!編
結局チョコ作りは星名食堂で行われた。


バレンタイン前の最後の土曜日の午前8時に集合し、食堂が始まる11時になる30分前まで必死に作っていた。


お父さんから苦情が来たり、藤宮さんのあまりの料理苦手っぷりに翻弄されたりしながらも作り終えられたから良かった。



「じゃあ、14日の朝ここに取りにくるからそれまでことちゃんの愛情をたっぷり入れて冷やし固めておいてね」


「園田さん、冷やすって表現良くないと思います。愛が冷めてしまうみたいで縁起が悪いと...」


「じゃあ、代わりの言葉、羽鳥ちゃん考えてよ」


「そう言われましても...」



2人がプチ言い争いをしているのを見て、わたしはなんだか微笑ましかった。


こうやって言い合えるくらい仲良くなれたんだと思って胸が熱くなった。


2人に出会えて仲良くなってこうして一緒に作られることが嬉しい。



「ちょっとことちゃん、何ぼけっとしてんの。これからお店でしょ?」


「あっ、そうでした...。では、園田さん、藤宮さん、当日にまたよろしくお願いします」



わたしがそういって去ろうとすると、園田さんが



「ことちゃん家で食べて帰るって決めてるから。今日はランチをいただきまっせ~」


「分かりました。では、そちらのテーブルで、椅子にお掛けになってお待ちください」



結局この日2人は店の手伝いまでしてくれ、お代をタダにしたのだった。


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