嘘つき社長と天使の恋物語


 もやもやした気持ちで、悠大は1階に下りて行った。



 リビングに行くと、嶺亜がボタンをつけなおしてくれた悠大のシャツが置いてあった。


 シャツを手に取ると、綺麗に洗濯してあり襟元もちゃんと綺麗になっている。

 とれかけていたボタンも綺麗につけなおされている。


 キッチンを見ると、綺麗に片づけてあるのを見て、悠大はなんとなく安心感を覚えた。


 サキが生きている頃は、キッチンはいつもピカピカで、食器もきれいにしまってあった。

 
 帰って来ると夕ご飯が出来ていて、帰りが遅くなると一樹は先に寝ていても、サキはちゃんと起きていて待っててくれた。


 
 お風呂場も綺麗に掃除してあり、トイレも綺麗にいつも掃除されていた。



 サキが亡くなってから、殆ど掃除をすることもなくたまに悠大が掃除していた。



 嶺亜と結婚して2週間だが。


 嶺亜もサキと同じように、キッチンは綺麗にしてくれているし、食器も綺麗に片づけてくれている。

 お風呂場も、トイレも綺麗にしてくれていて。


 文句なんて何もない。



 嶺亜の顔を見たのは・・・


 結婚式の時だけ。


 綺麗なウェディングドレスに身を包んで現れた嶺亜。


 その時。

 悠大は正直驚いた。


 誰でもいいと選んだ相手が、想像以上に綺麗な女性で。

 まるで天使が来てくれたようで、何も感情はないと思っていたが。


 嶺亜を見たら判らない感情が込みあがって来たのを感じた。


 しかし、そんな気持ちを認めてはいけないと思った悠大は無理やりしまい込んだ。



 嶺亜を見ないようにしているのは・・・
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