嘘つき社長と天使の恋物語


 そんな気持ちのまま、悠大はトイレに向かった。




 トイレでは嶺亜がトイレットペーパーを入れ替えて、きちんと整えていた。



 嶺亜が振り向くと悠大がやって来た。


「あ・・・」


 振り向いた嶺亜と目と目が合うと、悠大はドキッとした。


 2週間ぶりに嶺亜の顔を見た悠大は、ちょっとだけ嶺亜がほっそりした事に気付いた。

 そして・・・嶺亜の目を見て、何か違うと感じた。


「ごめんなさい、トイレットペパーを入れ替えていたんです。もう終わりましたから、どうぞ使って下さい」


 優しい笑みを浮かべて嶺亜は言った。


 何で笑ってくれるのだろう? あんなに冷たい態度をしているのに・・・。

 悠大はちょっとだけ罪悪感を感じた。



 
 
 しばらくすると。

 悠大は自分の食材を買いにく為に外出した。

 家で食事はしないと決めた悠大は、いつもコンビニやスーパーで総菜を買っている。

 だが・・・




 コンビニの前に来た時、ふと、嶺亜が食材を買い込んでき来ていたのを思い出した。

「あの食材の中に・・・私の分は、あるのだろうか・・・」


 いつもいらないと言っている悠大。

 どうせ用意されていないだろうと思った。


 少し迷った悠大だが、嶺亜にメールを送ってみた。

(お尋ねしますが。私の分も夕飯はありますか? )

 作成した文面を見て、悠大はちょっと違和感を感じながらもメールを送信した。


 
 しばらくするとメールが届いた。

(んなもん、あるわけねぇだろ! )

 と返ってきた。

 文面から見て、悠大は怪しいと感じた。

 誰が送ったのかはピンときた。




 そのまま悠大は何も買わずに帰宅した。 
 
 
 家に帰る頃には18時を過ぎていて、夕飯の支度がされていた。



 食卓には作られた夕飯が並んでいる。

 今日は和也がリクエストして、鶏肉の唐揚げと魚のフライ、そして大根の煮物と野菜サラダが並んでいる。


 炊き立てのご飯を和也がお茶碗についでくれる。


「和也君ありがとう。ごめんなさいね、手伝ってもらって」

「気にすんなよ。休みの日くらい、手伝って当り前じゃん。いつも姉ちゃんに作ってもらってんだからさっ」


 
 テーブルについて、2人が食べ始めた頃、悠大が帰ってきた。


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