嘘つき社長と天使の恋物語
4サキと一樹の想い
月日が過ぎて。
悠大と嶺亜が結婚して一ヶ月が経過した頃。
あれから悠大は家で食事はしているが帰りが遅く、殆ど夕ご飯は外食ばかりである。
嶺亜はいつでも食べられるようにと作っておいてくれる。
相変わらず悠大は嶺亜とはろくに会話も交わさないままで、用件はメールで伝えるのは変わらないままだった。
そんな時だった。
いつものように仕事から帰ってきた嶺亜は、大きめのマスクをつけていた。
何時ものように夕飯を作っている嶺亜。
「ただいまぁ」
和也が帰ってきた。
「おかえりなさい」
リビングにやって来た和也に、嶺亜はいつもと変わらない挨拶をした。
「ん? 」
嶺亜のマスク姿を見て、和也はちょっと不審そうに見つめた。
「夕飯できたので、食べて下さいね」
食卓に夕飯を並べて嶺亜が言った。
和也は食卓の椅子に座った。
だが、どこかいつもと様子が違う嶺亜を見てなんとなく違和感を感じていた。
和也が夕飯を食べ始めても、嶺亜は食べようとしないで他ごとをしていた。
「姉ちゃん、食べないの? 」
「あ、私は後でいいから気にしないで下さい」
そう答える嶺亜だがやはり様子がおかしい。