嘘つき社長と天使の恋物語
「本当は・・・結婚式の時、初めて彼女を見た時から胸がキュンとしていた。13年ぶりだから、良く分らなかったんだ。ずっと、人を好きになってはダメだ! 再婚してはダメだ! と、思い込んでい生きて来たからな。周りがうるさいから、適当に若い人と結婚すればいいと思って選んだが・・・。隣に並んでくれたら、正直嬉しくなった。本当は、作ってくれるご飯も嬉しい気持ちがいっぱいだったが。それはダメだと思い込んでいたから、ずっと避けていたんだ。だが、お前が来てきてから、ずっともやもやしていた。楽しそうな話し声が聞こえるたびに、ちょっとヤキモキしていたよ」
和也はフッと笑った。
「やっぱりそうだったんだ。わざとやってたんだぜ、どうせヤキモキしているに違いないって思ってたからさっ」
「見抜かれていたのか、恥ずかしいなぁ」
「当り前じゃん。俺は、父さんの子だよ。なんとなく、分かるんだ。心が繋がっているから」
「そうか。・・・来てくれて、ありがとうな」
「別に、それだけで来たんじゃねぇし。とりあえず、このお金の事。まだ姉ちゃんに、問い詰めないでくれ。俺がバラしたこと知ったら、姉ちゃんいなくなっちゃうぜ。それより、父さんがちゃんと姉ちゃんと向き合う事が大切じゃん。これからも、姉ちゃんと一緒にいるんだろう? 」
「ああ、そうだな」
「姉ちゃんの事、ちゃんと幸せにしてやれよ! 泣かしたら、化けて出てやるからな」
ツンと悠大の胸をついて、和也は悪戯っぽく笑った。
とりあえず。
夜もふけってきた為、和也と悠大は寝る事にした。
悠大は和也を自分の部屋に招いて、一緒に寝る事にした。
まだ2歳になったばかりの一樹と、よく一緒に寝ていた悠大。
和也は成人した大人。
一樹が生きていても、まだ中学生くらいだろう。
でも・・・
ぐっすり寝ている和也を見ると、一樹が大人になったらきっとこんな感じかもれないと悠大は思った。
眠っている顔は子供っぽくて。
口が悪いが、ハートは優しく。
あの上から目線の強い口調は、サキとそっくりだと悠大は思った。