嘘つき社長と天使の恋物語
「お前のやっている事は、立派な恐喝だぞ」
「恐喝? 嫌な言い方ね。妹からお金をもらって、何が悪いのかしら? 嶺亜がくれるって言うんだもの仕方ないじゃない? 」
「何を言っているんだ。それでもお前は、姉なのか? 」
「そうよ、嶺亜の姉よ。それが何? やっぱり、私の方が良かった? 嶺亜みたいなガキより」
悠大はギュッと嶺亜を抱きしめた。
「もういい、二度と近づくな! これ以上近づいたら、容赦はしないぞ! 」
「まぁ、怖いのね。仮にも嶺亜の姉なのに。仕方ないから、今日は帰るわ」
怪しく微笑んで、芹那は去って行った。
悠大はぐったりしている嶺亜を見た。
「ごめん・・・」
ギュッと嶺亜を抱きしめる悠大。
その後、悠大はタクシーを拾ってとりあえず嶺亜を連れて家に戻った。
青い顔をしている嶺亜を見て、悠大はどうしたらいいのか判らず眠っている嶺亜を見ているしかできなかった。
悠大が嶺亜の傍で見ていると。
フッとサキが現れた。
「あ~あ。相変わらず、あんたって何もできない人なのね」
やれやれと、サキは嶺亜に歩み寄った。
「サキ・・・来たのか? 」
「見ていられないわ。ちょっと、この子疲労が溜まり過ぎているわ。あんたが冷たくするから、傷ついているのよ。いい加減、向き合わないと本当にこの子連れて行くわよ」
「だから、それは困ると言ったじゃないか」
「ふーん」
サキは嶺亜の頭にそっと触れた。
「もうすぐ目を覚ますから、ちゃんと病院連れて行きなさいよ。保険は、ちゃんとこの子の事を扶養に入れているんでしょうね? 」
「もちろんだ」
「それなら安心だわ。病院は外科ね、分かると思うけど。右の頬を強打されているの。食べる事も痛くてできない状態。倒れたのは、過労と発熱。しばらく目を離さない事よ」
「分かった、有難う」
嶺亜を見て、サキはそっと微笑んだ。
「あんたには勿体ないくらい、綺麗な子だね。どうやら、私と同じ天使の血族みたいね」
「そうなのか? 」
「そのうち解るわ。大切にしてよ」
「ああ」
フッと、サキは消えた。