嘘つき社長と天使の恋物語

「え? 」

 悠大が驚いた顔をすると、サキはクスッと笑った。

「私からのプレゼント。不幽霊になったら、天使の力が戻ったの。怪我を治せる魔法のようなものよ」


 嶺亜の怪我していた頬が、跡形もなく綺麗に治っているのを見て、悠大は驚きながらも嬉しそうに頬んだ。


「さて、私はもう少しやることがあるから。それが終わったら、やっと次のステージに行けるわ」

「サキ…すまなかった。13年も引き止めて」

「本当に長すぎね。でも、これからあんたが、幸せになるなら許すわ。私も未練なく、逝けるから」


 そっと微笑んで、サキはスーっと消えた。


 嶺亜はまだぐっすり眠っている。



 怪我が治り綺麗になった嶺亜を見ると、悠大はちょっと頬を赤くした。

 





 夕方になり。


 嶺亜は目を覚ました。


 いつのまにか寝てしまった事に気付き、ひたすら謝っている嶺亜を悠大が慰めた。

「気にすることないよ、疲れているのに無理に連れてきたんだから」

「本当に、すみません」

「いいって、それよりちょっと見てごらん」


 そう言って、悠大は鏡を嶺亜に差し出した。



 なんだろう? と思いながら、嶺亜は鏡を見た。

 いつの間にかマスクがとれていて・・・


「え? 嘘? 」


 酷かったほほの傷が、綺麗に治っているのを見て、嶺亜は息を呑んで驚いた。

「良かったな。きっと、神様からのプレゼントだ」

「はい…そうですね…」


 嶺亜は素直に喜んだ。


「あの。よかったら、今夜は外で食事して帰らないか? 」

「え? いいんですか? 」

「勿論だよ、ずっとどこかに出かける事もできなかったからな」

「でも、和也君が待っています」

「大丈夫だよ、和也は今夜は彼女と会うって言ってたから」

「え? 和也君って彼女がいるんですか? 」

「そうみたいだね」

「それなら、喜んで行きます」


 
 それから悠大と嶺亜は、駅前のシティーホテルにあるレストランへ向かった。

 結婚のお祝いもしていなかった悠大と嶺亜は、お祝いを兼ねてシャンパンで乾杯した。


 窓からは綺麗なイルミネーションが見えて夜景も綺麗。



「こんな素敵な場所、初めてきました」

「喜んでもらえて、嬉しいよ」


 とても楽しそうに食事をしている悠大と嶺亜。



 悠大と嶺亜が楽しいひと時を過ごしているとき。
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