嘘つき社長と天使の恋物語


「こんにちは。先生、いらしゃいますか? 」



 開いている玄関から来客が入って来た。


 入って来たのはまだ若い男性。

 

 血まみれで倒れている2人を見て、驚いて腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。



 パトカーのサイレンが聞こえてきて。



 しばらくすると警察官がやって来た。



 腰を抜かして座り込んでいる男性を捕まえる警察官。

「違う! 俺じゃない。俺はただ、依頼人で相談に来ただけだ! 」


 男はそう叫んでいた。





 外で聞いていた芹那は不敵に笑い、血の付いたコートをごみ箱に捨てて去って行った。







 その後。

 来客の男は、嶺亜の依頼人で離婚裁判を依頼していた。

 奥さん側が有利になり相談に来たとの事だったが、警察は、自分の立場が悪くなり弁護士の腕が悪いと逆恨みした依頼人が一家を殺害しようとしたと断定した。

 嶺亜はたまたま外出していて、姉である芹那は結婚して家にいなかった事から2人は助かり。

 家にいた父と母が殺害されたと報じられた。



 
 
 芹那の夫は自殺と断定されていた。
 
 手に包丁を持っていて自分で刺したように思われたのだ。




 その状況を利用して、芹那は嶺亜の依頼人が父と母を殺した、そのショックで夫は自殺したと
決めつけて。


 それ以降、嶺亜にずっとお金を要求し続けていた。




 嶺亜に悠大から結婚の話しが来た時も。


「コンサルティング会社社長なのね? それなら、お金持ちじゃない。いいわよ結婚して。その代わり、私が言う通りお金はちゃんと持って来てね。ショックで私、働けないから…」

 と、お金を渡す事を約束させて嶺亜に悠大と結婚するように命じた。







 フッと、芹那はため息をついた。


「私…何をやって来たんだろう…」


 溜息をついた芹那は、つきものが落ちた様な顔をしている。

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