嘘つき社長と天使の恋物語
2新婚宅にやって来た同居人
 
 帰りが遅い悠大。

 だが和也が初めて家に居候になる事で、今日は早めに帰ってきた。



 20時帰宅。

 嶺亜は既に帰ってきていて夕飯を作ってくれていた。


 キッチンの食卓に美味しそうな煮物と焼き魚が並んでいる。


「わぁ、いい匂いがする」


 和也が嬉しそうに食卓に向かった。


「すげぇ、煮物まである。久しぶりの和食だぜ」


 声がして嶺亜がやって来た。


「おっ、姉ちゃんが社長の新しい奥さん? 俺、社長秘書の澤村和也。今日からここに住み込むから、よろしく」


 気さくな挨拶をされ、嶺亜はそっと微笑んだ。


「初めまして、嶺亜です。ここに住むのですか? 」

「ああ、寝る場所は適当で構わないぜ。2階は邪魔になりそうだから、1階の和室でも使うから俺の事は気を使う必要ないぜ」

「そうですか」

「それよりこれ、食っていいか? 俺、ずげぇ腹減ってるんだ」

「はい、どうぞ。今ご飯つぎますね」


 嶺亜は茶碗を食器棚から取り出して、ご飯をよそった。


「ねぇ、あんたは食べないんだろう? 」


 悠大に向かって和也が言った。


「ああ、いらない」

 
 嶺亜はチラッと、悠大が手にコンビニで買った食材を持っているのが目に入った。


 少し残念そうな顔をした嶺亜だが、特に何も言わなかった。
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