嘘つき社長と天使の恋物語

 下から和也の嬉しそうな声が聞こえてくる。

 小さめの声で嶺亜が話している声も聞こえる。


 時折り2人で笑っている声も聞こえて・・・。


 悠大はなんだかモヤっとした気持ちが湧いてきた。


 だが、いらないと言った手前。

 今更降りてゆく事も出来ず、仕方なく買ってきた食材を食べる事にした。


「・・・美味しくない・・・」


 一口食べて、悠大が呟いた。


「コンビニ弁当って、こんなに不味かったか? 」


 リビングに入った時、焼き魚の匂いと煮物の良い匂いがした。

 それを嗅いだ時、悠大は正直お腹がグーッとなった。

 お腹が鳴るなんてどのくらいぶりだろう?

 ずっと食べる事もどうでもいいと思って、なんとなくしか食べていなかった。



 朝から顔をも合わせないで仕事に行ったのに、嶺亜は夕飯をきちんと作ってくれた。

 
 悠大の中で少しだけ罪悪感が湧いてきた。







 夜もふけって。


 悠大はお風呂に入る為1階へ降りてきた。


 すると・・・

 お風呂場から出て来た和也がいた。

 和也を見た悠大は。

「??? 」

 声にもならない驚きの表情を浮かべた悠大。

「ん? 」

 和也は悠大を見た。

 悠大は驚きのあまり声も出ないのか、和也を指さした。


「あ? 」


 濡れた髪をタオルで拭きながら現れた和也は・・・

 全裸のままだった。

 
 若くて引き締まった和也の体を見て驚いたのもあるが、人の家にいて全裸で歩いて出てくる事に悠大は驚いているようだ。


 驚いた顔をして指をさしている悠大を見て、和也はふと自分の姿を見た。


「あ、悪りぃ悪りぃ。ちょっと湯船に漬かり過ぎちまってさぁ」

 笑ってごまかしている和也。
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