2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『樹さん、私のこと…本当に心配してくれてるんですね…ごめんなさい、私が不安定だから…』


思わず私は、下を向いた。


『…もうすぐ着く』


樹さんからは、その言葉しか、帰って来なかった。


もうすぐって言ってからも、車はしばらく走ってる。


とても…静かだ。


樹さんって…


次々に言葉が出て来る柊君とは、全然違う。


1つ1つの言葉を慎重に、そして、大切に…


つむぎ出してるように感じた。


そして、樹さんは、車を止めた。


『着いた』


『うわ、すごいです!こんな素敵な場所…』


思わず興奮しちゃった。


車からの夜景がみごとで、宝石みたいにキラキラしてて、感動する。


辺りは、住宅もなく、他に車はいない。


完全に2人きりだ…


『こっちに帰って来て、いろいろ探した。ここなら誰もいないし、ゆっくり夜景を楽しめる』
< 135 / 244 >

この作品をシェア

pagetop