2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『今は、何も言わないでおく。会ってもらえればわかるから』


よくわからなかったけど、私は、とりあえず、うなづいた。


これから何が起こるって言うの?


もう、正直、あんまりいろんなことに巻き込まれたくなかった。


最近の私は、あまりにも予期せぬ出来事に見舞われ過ぎてるから。


佐藤君のこと、柊君のこと、山下専務のこと…


そして、樹さん、あなたに告白されたことも。


もちろん、それだけは嬉しいことだったけど…


でも、もうこれ以上、心臓もたないよ。


私達は、食事を終えて、その人との待ち合わせ場所に向かった。


ここ、ホテル?


高級なホテルの地下駐車場に車を止めて、ロビーに上がった。


こんな広くて豪華なロビー、初めて見た。


『柚葉、こっち』


樹さんの少し後ろを歩く私。


『あ、うん』


緊張しながら、樹さんの言う通りに進んだ。


ロビーのラウンジに入って、その一番奥のテーブルに座る女性に、樹さんは声をかけた。
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