2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『すみません…私…』


『いいわ、柚葉さん。私、あなたが彼女だなんて信じない。私はね、モデル時代からずっと樹の才能に惹かれてるの。人としても、男としてもね。パパの会社を紹介したのも、樹が仕事で成功して欲しいから。悪いけど、私は、見た目も経済力もあなたに勝ってる。あなたにはいったい何があるの?』


あなたには何があるのって…


そんな質問をされるなんて、思ってもみなかった。


本当に…


私には何があるんだろう…?


美人でもない、お金持ちでもない、教養はそこそこだけど、飛び抜けたものなんて…何もない。


本当に…改めて考えたら、私って…


『沙也加、俺は、お前のそういう考え方が嫌なんだ。好きになるのにお金は関係ない。それに、見た目の好き嫌いは、人それぞれだ。お前が美人なのはわかる。でも、だから男がみんな惚れるとは限らない』


樹さん…そんなキツいこと…
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