2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
私は、樹さんとは付き合ってもないんだから…


新しい下着はさすがに要らないよ。


パジャマだけで、充分。


本当に…


心が揺れてて、落ち着かないな…


一通り、買い物を済ませ、私は、マンションに戻った。


夜までの間、ソワソワしっぱなしで、立ったり座ったり。


自分がこんな気持ちになるなんて、柊君とお別れした時は、夢にも思わなかった。


ただ、暗い毎日を送るだけだったはずなのに、今、樹さんにドキドキしてる自分がいるんだから…やっぱり、不思議な感覚だ。


そうこうしてるうちに、樹さんがやって来た。


部屋の前まで来てくれて、荷物を運んでくれた。


車に乗り込むと、樹さんが言った。


『今日は、俺の部屋で食事しよう。宅配頼んでる』


『あ…うん、ありがとう』


食事、喉通るかな…


嬉しいけど、緊張が止まらないよ。


運転席の樹さん、本当にいい匂いがする。


しっとりと、大人っぽい香りだ。
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