2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
樹さんのマンションに着いて、私は、車から降りた。


とうとう…来ちゃった…


部屋の中に入り、奥の部屋、かなり広いリビングに通され、樹さんがそこに私の荷物を置いた。


『後で部屋に案内する。まずはそこに座って』


『あ、うん』


リビングの大きめのソファに腰掛けて、私は、一呼吸した。


緊張よ、溶けて…その言葉を、まるでおまじないみたいに、自分に唱えた。


樹さんは、温かいミルクティーを入れてくれた。


『どうぞ。寒くないか?』


『ううん、ちょうどいいよ。ミルクティー、ありがとう…頂きます』


樹さんも、ソファに座り、コーヒーを飲んでいる。


私との距離は…1mくらいかな。


目の前にいる樹さん。


やっぱり、ちょっと…柊君だと勘違いしそうになる。


柊君と同じ姿の樹さん。


髪型の違いには救われるけど…


でも…もし、私が柊君と結婚してたら、こんなふうに、毎日一緒にいられたんだろうな…
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