2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『ピンポン』


チャイムが鳴った。


宅配が、来たみたい。


樹さんがドアを開けて、リビングを出て行った。


その隙に、私は、また大きく深呼吸した。


『食べよう、いろいろ頼んだから』


『ありがとう…ごめんね。いくらだったかな?』


『そんなことは気にするな。俺が誘ったんだ、食費はもちろん俺が持つ』


『でも、そんなの、申し訳ないよ』


『ここにいる間はお金のことは気にするな。そんなこと考えたら、窮屈だろ。楽にすればいい。今日からここが、お前の家だ』


樹さんにしたら、お金は嫌というほどあるんだろうな…


でも、そんなにいろいろお世話になってもいいのかな…


『そんな顔するな。ここにいる間は、ずっと笑っててくれ』


『…あ、うん、いろいろごめんね、ありがとう。本当に…甘えちゃって…いいのかな』


『もちろんだ』


樹さんはそう言って、届いた食べ物の中身を取り出した。


お惣菜がたくさんで、美味しそう。


『食べよう』


そう言って、さり気なく割り箸を渡してくれた。
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