2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
リビングに戻ったら、樹さんは、キッチンで洗い物をしてた。


『私がやるよ』


『いいよ、こんなのすぐ終わる。これからも気を遣うなよ。気付いた方、手が空いた方がやればいいんだ。アメリカで、ずっと自炊してたから、俺も一通り何でも出来る。家事は嫌いじゃない』


樹さんが、微笑んだ。


本当に…優しい。


『うん、ありがとう、そうさせてもらうね』


『あと、バイト先まで遠くなったのは…悪いな』


『大丈夫だよ、電車ですぐだし。自分のマンションの様子も見て来れるし…気にしないで』


『そうか…でも、通勤、気をつけろよ』


『うん』


心配してくれてるんだね…嬉しい。


樹さんは、キッチンやバスルーム、トイレの場所や使い方を教えてくれた。


何でも自由に使って、自由にくつろいでくれって、言ってくれたんだ。


リビングの大きな窓から見える景色も素敵だった。


リッチな気分になれて、ここに来て良かった…って、少し思った。
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