2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『お前が信じなくても、それが現実だ。自分でも分からない。何でこんなにもお前に惹かれるのか。柊の彼女だってわかってたのに…』


やだ、心臓がドキドキする。


『俺は、柊と柚葉を応援してるフリして、ずっと柊を騙してたんだ。お前に片思いしてること、口が裂けても言えなかった。でも、これだけは言える。お前が柊と結婚するなら…』


樹さん、もうそれ以上言わないで、私…


『俺は、黙ってお前のことを想い続ける覚悟だった』


『そんな…』


『柊が、柊が…柚葉を大事にしないなら、俺が…俺がお前を守りたかった…』


ダメだ…


その言葉で、私の感情が一気に溢れ出した。


私は…


両手で顔を隠して泣いた。


声は…もう抑えられなかった。


樹さんの気持ちが、死ぬほど嬉しかったんだ。


『柚葉…ごめん、お前を泣かせるつもりなんてなかった』
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